憑かれるって困るぜ~(´;ω;`)
其の十二
栗吉の言葉にキクは我に返る
「え…!!?灰鼠島!!!」
お宝ハンターの間では有名な世界で最も最高のお宝があるとされる場所…
「まさかここが、伝説の三宝が眠る幻の島!!?」
キクは興奮した
偶然とは言え伝説の島に辿りつけるなんて!!
お宝ハンターといても箔が付くし金持ちになれる
そんな事を考えているといつもより感情が高ぶって体中に急に血が上るようだ
───いや、違う、この感覚はもしかして…!
“ヤバい”
「───う!!?」
キクは全身に突然血がグングンと巡るおかしな感覚に侵されて
思わず悲痛な声を上げた
が、別に痛さや苦しさは感じない
その逆で体中がとても気持ち良い
だが、それは自分が “アレ” に変化してしまう前兆なのだ!
嫌だ… “アレ” になりたくない!!!
身悶えるキクをみて栗吉は心配する風もなく、ずるると茶をすする
「うんこか?」
『違っ……』
栗吉のどうでも良い問いかけが遠く聞こえる
ざわりとした感覚がして自分の体が全く違うモノになってゆくのが解った
『うぐっ───ぅ!!!』
“ぽふ”
ちいさな音と共に
栗吉の部屋にはさっきいたハズの人間の青年の姿は無く
目の前に変な姿の葉っぱの妖怪が突然出現したのである!!
其の十三
驚いた栗吉が持っていた茶碗を “ぽん” と投げた
変な葉っぱの妖怪と栗吉に静かな間が訪れる…
「「な…なにゃらぁぁがぁぁ!!?」」
“何が…?” と言いたかったらしいが、余りの驚きに栗吉は言葉が出ない
一方キクは青ざめて自分がまた妖怪になってしまった事にぞっとしている
「あああああ…なんてブっさいくな妖怪~怖~~~」
がたがたと震えながら栗吉はポツリと喋った
いや、そっちかよ!てか失礼な!
『何に驚いてんだコラ!!!人の事言えんのかテメ──!!!』
栗吉の失礼な態度にキレる…。
「俺は妖怪なんかじゃねぇ~!!!」
プルプルと震えながらキクは栗吉に話を始めた
どう言おうかと頭の中に考えを巡らせる
今まで誰にも打ち明けられずにずっと隠していた事だったからだ。
普通の人間には言えないが相手が妖怪なら自分の悩みを解決してくれるかも!
そう思ったから思い切って言う事にした
「憑かれたんだよ!!この葉っぱ妖怪にな!!!」
“憑かれた” そう、キクは妖怪に取り憑かれた人間なのだった。
だから伝説の三宝を探すと同時に自分の呪いを解く方法も探している
もしかしたらこの妖怪の島に辿り着いたのも偶然では無く
自分に憑いたこの妖怪が仲間のいる此処へ導いたのかもしれない──次回へ続く!
悩み相談して頑張れ!キク
