万の妖怪記

妖怪達の住む異世界に迷い込んでみました。

万の妖怪記

“初代” 万・妖怪記 第5話

初代妖怪漫画10

糠漬けが一番美味いだず~♪

其の十

“非常食” にすると言われて変な茶色い毛玉の生き物に食われると思って

少しテンパったキクだが

どうやら今はそのつもりがないらしい。

 

茶色い毛玉の生き物は下手な鼻歌を交えながら

囲炉裏の前に二人前の夕飯をどんどん用意していく

 

良く見れば、この小さい体には大きすぎるような気がするお椀だが

この茶色い生き物は器用にお椀を掴んで運び、短くてどこについているかも

解らないような小さい足で軽快に歩いて動きも意外に素早いのだ

 

本当に奇妙な生き物だ……

と、キクはチョロチョロと動き回る茶色い生き物を目で追った。

 

茶色い生き物が囲炉裏の鍋に近づいて “ぱか” と木蓋を開けると

ふんわりと何とも言えない香ばしい良い香りが部屋中に漂った

キクはその香りにゴクリと喉を鳴らす。

腹が減った…!

 

茶色い生き物が「栗」と書かれた洒落た黒と朱塗りのお椀に

鍋の汁物をすくって注いでゆく、具沢山だ

汁椀を囲炉裏の両側に綺麗に並べると次は別のお椀にメシを盛り付けている

大盛だな…

 

しゃもじを持ったまま茶色い生き物がキクに “こいこい” とキクに合図を送った

恐る恐る用意された食事の前に這ってゆくと

茶色い生き物がキクの目の前にこんもり盛られたメシのお椀をグイと出した

 

「ほい。遠慮せずに食えや!!非常食」

『非常食にすんな!!』

 

茶色い生き物にツッコミを入れながらも、キクは大盛のお椀を受け取る

ついでに焼けた魚も茶色い生き物から貰うと

魚にかぶりついてがっつく。

ほど良い塩味が何とも言えず美味い

 

「ったく…まぁ助けてくれてありがとよ、俺の名はキクだ!!」

 

キクは食べながらも取り合えず礼を言った。

この奇妙な生き物を信用してるワケではないが

この状況ではコイツ以外に頼る他ないだろう…

 

「で?お前は一体何だ?」

 

キクは茶色い生き物に問いかけた。

其の十一

初代妖怪漫画11

「俺は栗吉!!上品で清楚なモグラの妖怪♥」

 

魚の骨をしゃぶりながらヨダレを垂らして可愛い子ぶりっこする茶色い生き物

“栗吉” は親し気にキクに話しかけた

 

「何が上品だ!!厚かましいぞテメー!!」

栗吉にちょっと苛つくキク

そう言えば “妖怪” とか言ったな。じゃここは妖怪の住む島なのか?

 

「んでもお前ぇよくこの島に辿りついたな~」

メシをあっと言う間に平らげておかわりをしながら栗吉は感心したように言う

 

「知るか!!それより俺の飛行機どうした?」

腹も満たされたて一息ついたらヤグサレ号の事がとても気になった

 

「飛行…?ん~あの鳥か、今頃亀公の腹ん中かなぁ~」

「「はっ…腹ぁぁ!!?」」

 

メシをばくばく喰いながら平然と言う栗吉に

キクはショックで大声を上げて叫んだ!

ヤグサレ号が無いと帰れない…って事は……

 

【最悪だ!!!妖怪達の島に不時着して帰れねぇなんて…彼女もまだいねぇのに…】

 

キクは “ずぅぅん” と目の前が暗くなって萎れて沈んでしまう

 

栗吉は特に動じるワケでもなく汁をすすっている。

 

『大体ここはどこなんだ──!!!』

「ん?ここは “灰鼠島” 妖怪の里さ」

 

たらふく食べてゲップをしながら泣き叫ぶキクに教えてやった。

妖怪の住む島、灰鼠島に来てしまったキク…さてどうなる…?次回へ続く

妖怪島でどうやって暮らすだず~?気になるだず~★