葉怪・藤カエル

其の二十八
グラグラと地が揺れて地中から巨大な生き物が這い出て来る
───蛙だ!
しかも巨大な蛙
光藤の巨木を根から体に纏って尚且つ巨大に見える
フジガエルとでも言おうか
恐らく良く出会う “暴れツチガメの朱美” よりずっと巨大だろうか…
これで暴れなければ良いが呪によって作り出された妖怪故に
ビリーが命じれば何でも言う事を聞くのだろう
“ぐええ” と、低くウシの様な声で鳴くと
血の様に真っ赤な巨大な口の中が見えた
良く見ると滑りのある体にはゴツゴツとした岩のようなイボが
びっしりと付いている
『おああっ!!』
その禍々しい姿に思わず栗吉は絶叫した
フジカエルから見れば小さい虫みたいな自分が
踏みつぶされないようにぴょんと慌てて後ずさりして
何とか距離を取ろうとする。
尖葉子のビリーはフジガエルの頭に腰かけて
驚く栗吉を見下してはニヤリと不敵な笑みを浮かべている
栗吉は尖葉子のビリーよりも巨大で気味の悪いフジガエルの方が気になって
用心深くその動向を見守っていた
“グルグル” と何か異様な音が聞こえる
見ればフジガエルは喉の部分をプクリと膨らませて
今にも何かヤバイモノを吐き出そうとしているようにも見えて
栗吉は嫌な予感しかしてこないのだ
口の端から“しゅうしゅう”と白い煙が立ち上っている…次回へ続く!
来るぞくるぞ~!!