ここが、妖怪達の住む『妖怪の郷』だず~
其の3
お宝ハンターの青年、キクが大変な目に遭っていた頃、鼠の形をした島
『灰鼠島(はいきゅうとう)』では、不思議な生き物の影が二つ…
沼から出る霧の中、大きな岩に腰を掛けてゆっくりとくつろいでいるようである。
不思議な生き物…人間とは違うそれらは『妖怪』と呼ばれている。
ここ、『灰鼠島』は妖怪達だけが住む島なのだ。
世界中のどの地図にも、レーダーにも映らない “妖怪” 達だけの島は
人間の目に触れる事が無いように次元を超えた、言わば “異世界” にある島なのだが
お宝ハンターの青年キクを招き入れる様に瞬間、その姿を現したと言うワケだ…
キクの様に、こうして妖怪達の住む異世界に迷い込んで来る人間は時にいるが
殆どが、次元の狭間に入ってしまい、出られずに時間と空間を彷徨い続けるか
稀に記憶を失って人間の世界に戻れるかの2通りだろう。
さて、この2体の妖怪。一つはモグラの妖怪、そしてもう一つは狸の妖怪らしい。
少し晴れてきた霧の中、モグラの妖怪はその姿に似合わず
スパスパと煙管をふかしている。
かなりの煙草好きなのか、美味そうに煙を味わいながらゆっくりと吐き出した
良く見ればモグラと言うよりも茶色くて丸い毛玉の様な姿だ。
「なぁ…豆さんよ」
煙と同時に横にいる狸の妖怪に話しかける
「なぁに~モグさん。もぅ帰るぅ~?」
話掛けられるのを待っていたかの様に、狸の妖怪は少々間の抜けた様な口調で
モグラの妖怪栗吉に返事を返した
狸の妖怪は “赤巾着の豆狸” と呼ばれている
狸の妖怪ながら、結構細いホンワカした妖怪である
栗吉と豆狸は同じ年齢の気の合う仲間なのだった。
其の四
そう言えば、さっきから沼霧は引いてきたけれども暗くなってきた様な…
豆狸は何となくそう思った。
“ぺちょ”
「ふぁ?」
頭になにやら生温かいぬるっとした “何か” が落ちて来て、その不快さから
いつもより高い間の抜けた声が出てしまった
「いや…何か今ヤバくね?」
栗吉が豆狸に危険を知らせるような不思議な返事をした…
その刹那
「「ギャアアアア」」
雄叫びとも悲鳴とも区別がつかないあまりに巨大なモノの声が響き渡る!
「「びゃああああああ!!!」」
同時に悲鳴を上げたのは豆狸で
青ざめ涙をまき散らしながら引き攣っている
雄叫びを上げた妖怪は「妖沼の主・暴れツチガメの朱美(♀)」
この灰鼠島・妖怪の里で最も凶暴で巨大な亀の妖怪だ。
暴れツチガメの朱美にかかれば、あっと言う間に噛み砕かれ喰われてしまう!
あまり知的とは言えないその様子と姿から妖怪達には
妖怪の姿をした獣… “妖獣” と呼ばれていた。
暴れツチガメの朱美に出会ってしまい、恐怖に引き攣る豆狸
対照的に、何故か未だにくつろいで煙管をふかすモグラの妖怪栗吉…
しかも栗吉は
(腹減ったな~…今日の夕飯何にすっかな~…)
とか、考えている。
全くこのモグラの妖怪は、肝が据わっているんだかそれとも単にバカなのか…
どちらにせよ、暴れツチガメの朱美は狙った獲物は必ず喰う妖怪
驚異の素早さで獲物目掛けて喰らいついてくるのだ!
今まで無事だった栗吉と豆狸も遂に喰われて一貫の終わりなのだろうか!
どうなるかは次回に続く!!
亀の妖怪マジ怖いだずぅぅ~!!!
