初代妖怪記はようやく完結です
\私もイラスト投稿させて貰ってます(やっとこ2枚)/

其の四十八
栗吉は遥か昔の事を思い出す…
遥か昔、まだ栗吉達が人間と共存していた時の事
栗吉達の居た村では
妖怪を怖がる事無くむしろ隣人の様な存在だった
「よく寺の境内で、子供達と遊んだもんだ…楽しかったな~」
それがいつの間にか人間の方から離れていった
妖怪達は異形の者として悪にも気味悪がられ
仕方なく妖怪達は別の空間で人間と離れて暮らすことにしたのだった。
それから栗吉は人間には遭っていない
何年経つのか…百年か二百年か
だが楽しかった頃の思い出は今でも時々瞼に浮かぶことがある。
だからキクを助けたのかもしれない
「また遊べるって!!」
キクが微笑みながら栗吉に語り掛ける
「飛行機直したら連れて行ってやるよ!」
「おう!!その内カメ公のケツから糞まみれで出てくらぁな!!」
「言うな!!!」
元も子も無い事を返されてキクはちょっとイラっとした
そんなキクをからかうように大きい蛍がフワリフワリと舞いながら
辺り一面を照らしている
こんな風景、人間の世界では中々お目に掛かれないだろう
キクはこれから妖怪達と送る新生活に少しだけ胸が躍った
不安はあるが恐怖は無い
むしろ妖怪達の事をもっと知りたいとさえ思っていた…
「蛍だ!なぁ散歩行こうぜ、栗~っ」
「散歩ぉ~?んじゃ灯ぃ持って来るから先行ってろや」
キクはこの雰囲気を楽しんでいた
だからだろうか
「沼の側歩くなよ」
と言う栗吉の声はちょっと聞き取れなかったのかもしれない…
其の四十九
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所でキクのヤグサレ号は本当にどうなったのだろうか…?
暴れツチガメの朱美も流石にあの硬い鳥は食べなっかったようだ
翼が折れた鉄の鳥はそのまま “キジムジナ” 達の森に不時着し
そこでキジムジナ達の良い巣になっているようだ
一晩たたない内に森の草に見事に紛れたヤグサレ号は
見つけるのが至難の業になるだろう
まるで体を休めるかの様に太古の草に身を埋めている
どの道キクはもう少しこの “妖怪の郷” に滞在する事になるだろうね
──万の妖怪が住む島の物語はまだ始まったばかり── 終
【おまけ】
そう言えば散歩に出たキクは
つい蛍を追って沼の側を歩いてしまったらしい
沼から出て来た巨大なドジョウ “沼ドジョウ” に喰われ掛けている
『ぎゃああ!食われるぅ~助けろよコラ!!』
絶叫するキクを遠い目で見ながら栗吉がポツリと呟く
「あ…ヌマドジョウ、だから言ったのにアホだな~…」
キクは妖怪の言う事は最後までちゃんと聞いた方が身のためだと
ここでようやく思い知ったのでした。(笑)
「あとがき」もあるから次回見てね~!